Ecxis infinity 合同会社

経営者インタビュー/タージンさんよりインタビューを受けました

 

プロフィール 大阪府堺市百舌鳥出身。20歳で電気工事の業界に入り、以来、職人として腕を磨き続けた。2008年のリーマンショックで勤務先の会社が廃業となったことをきっかけに独立する。予期せぬ起業だったものの、前職時代の取引先の縁や現場での仕事を評価されての新規取引などがあり業績は向上。社会保険などの福利厚生面を充実させるために、2017年にEcxis infinity(同)へと法人化した。

私たちの便利な生活に、電気は欠かせない。しかし目には見えない電気の存在を、普段から意識している人はどれぐらいいるだろうか。発電所でつくられた電気が私たちのもとへ安全に届くようにしているのが、電気工事士たちだ。ビルやマンション、工場や空港など、これまでに数多くの現場を手がけてきたEcxis infinity(エクシスインフィニティ)合同会社の橘良裕代表に、電気工事士という仕事について熱く語ってもらった。

 

空港など大規模現場の施工も経験あり

タージン 大阪府堺市を中心に近畿圏内で活動している電気工事会社のEcxis infinity合同会社さん。

なかなかおもしろい社名ですね。

 Ecxisは、電気工事業者の英訳Electrical constructionから、xisは軸を意味するaxisから取りました。Infinityは、無限大という会社の可能性を表すと同時に、電気の抵抗値の測定結果を表す言葉としてなじみのある単語なんです。

タージン 自分たちの仕事への誇りが強く伝わってきます。設立はいつになるのですか?

 法人化したのは2017年です。それまでは個人事業で仕事を手がけておりまして。社会保険を整備していないと入れない現場が増えてきたので、法人化したんです。

タージン ということは、大きな現場も手がけておられるのでしょうね。

 ええ、これまでに関西国際空港やNHK大阪放送局の建物を手がけたこともあります。

タージン どちらも関西を代表する建物だ! 具体的にどんなお仕事をしているのかも、今日はじっくりとお聞きしましょう。

 

電気のある便利な生活を
縁の下で支える工事会社

電気のある便利な暮らしを支える仕事

 

 

タージン ホームページを拝見しますと、特別高圧受電設備工事、高圧設備工事、低圧設備工事、プラント制御工事が主な事業なんですね。順番に説明していただきたいと思います。そもそも特別高圧とはなんでしょう?

 7000Vを超える電圧のことです。大規模な工場や巨大プラント施設に通っていることの多い電圧ですね。とても高い電圧なので、間違った作業をすると大きな停電事故や災害につながりかねません。だから、特別高圧受電設備の工事が必要なんです。一方、高圧設備工事は、大型の建物や工場などに施工されます。大型の建物では、たくさんの電気を使用するため、高圧受電設備を設置する必要があるんです。私たちは、高圧受電設備の新設や増設、老朽化による更新工事などを行っています。また、使用電力の増加にともなう、容量増設工事や引込線の指示点変更にも対応していますよ。

タージン つまり、Ecxis infinityさんの仕事は、電線を流れる高圧な電気を、建物ごとに必要な電圧に変換していくものというイメージでしょうか。そうなると、低圧設備工事は一般家庭にも関わる工事なのでしょうね。

 ええ、この工事が一般の方に最も身近だと思います。低圧設備工事は、例えばケーブルから引き込んだ電力をマンションの各戸へ容量に合った電流を送電できるようにする工事です。照明器具やスイッチ、コンセント、非常照明などを設置し、電灯分電盤から適した容量の配線を行う、などの作業も手がけますよ。

タージン いやぁ、私たちが電気を使った便利な暮らしができるのは、Ecxis infinityさんのような会社があるおかげだったんだ! 最後のプラント制御工事についても、ぜひ教えてください。

 

 プラントの設備を長期的に効率良く運転させるため、環境を整える工事です。工場の生産ラインのほか、ビルなどの業務用空調設備、大型店舗の電気工事などがこれに含まれます。調節弁、測定機、ケーブルダクト、電線管の設置や、各機器をつなぐ配線、配管の敷設など幅広い工事に対応していますよ。

タージン こちらもオフィスや商業施設など、私たちの暮らしに深く関わる分野ですね。電気が不可欠な現在、Ecxis infinityさんの仕事はあらゆる人に欠かせないといっても過言ではないでしょう。

電気のある便利な生活を
縁の下で支える工事会社

仕事の基準になるのは時間ではなく内容

タージン 普段、仕事をするうえで心がけていることは何でしょう?

 メリハリですね。一般的な会社ですと、休憩時間が決められていることが多いじゃないですか。でも、私たちは仕事への集中力を優先して、あえて休憩時間を決めていません。

タージン 時計に動かされるのではなく、自分の意思で行動するということですね。

 おっしゃるとおりです。仕事の基準になるのは時間ではなく内容ですからね。だから仕事をしっかりと終わらせれば、たとえ17時前でも終業です。

タージン いかにも職人という感じでカッコいい! それだけ自分たちの仕事に責任を持っていらっしゃる証だと思います。

 電気という社会インフラに関わる仕事ですから、やりがいも大きいですよ。それに、資格が必要な工事や作業も多いため、スキルアップにもつながります。

タージン ほう、例えばどんな資格が必要となるんでしょうか?

 第一種電気工事士、第二種電気工事士、高所作業車運転者があります。特に大事なのは電気工事士です。この資格がないと見習い扱いで、重要な作業には関われません。まず第二種電気工事士を取得し、3年間、実務を経験するんです。それで第一種電気工事士の受験資格を得られます。高所作業車運転者は、業務上、高い場所での作業が主体のため、必要な資格です。いずれの資格も、取得まで会社が全面的にバックアップしますよ。

タージン 会社が取得を援助してくれるのは、若い世代には魅力的でしょうね。バックアップを行うのは、やはり会社としての技術力を高めるためですか?

 そこに加えて、安全面も考慮してのことです。知識があれば、危険も未然に防げます。「無事故・無災害・無トラブル」の3つは、当たり前のことと言えるでしょう。この当たり前のことを行うのが、実は非常に難しいんですよ。だからこそ私たちはそれらを会社のモットーにして、常に意識するようにしているんです。

タージン 当たり前のことを当たり前にできるかは、仕事の質にもつながってくると思います。Ecxis infinityさんの仕事ぶりを見て、信頼を深める工事関係者も多いことでしょうね。

 ええ、本当に感謝しています。振り返れば、私が個人事業主だった頃、仕事が軌道に乗ったのも、現場での仕事が評価されてのことでした。その信頼、期待にこれからも応えていきますよ!

電気のある便利な生活を
縁の下で支える工事会社

若手には、親方を超えた成長を期待

タージン 今後の目標についても、ぜひお聞かせください。

 会社の規模を倍ぐらいにしたいと考えています。現在は私を含めて3名体制なので、8人ほどの規模にしたいですね。

タージン となると、新たな仲間が必要ですね。どんな人に来てほしいと思っていますか?

 前のめりの、どん欲な姿勢の人がいいですね。「独立してやったるぞ!」ぐらいの意気込みがあれば最高です(笑)。私の経験や知識、ノウハウも惜しみなく教えますよ。

タージン それは意外だな! 高度な技術を必要とする世界だから、そう簡単に人に教えることはないと思っていましたよ。

 確かに特殊な技術です。しかし、だからこそそれを誰にも教えないのはもったいないと考えているんですよ。もちろん、最初のうちはわからないことばかりだと思うので、先輩について、ペンチやドライバーの使用方法など、基本的なことから学んでもらいます。「職人としてさまざまな技術や知識を身につけたい」と思っている人には、私の技をどんどん盗んでいってほしいと思います。そして、盗んだ技を自分なりに進化させてほしいですね。

タージン 親方の技を学び、そこに自分なりの工夫をしていくことが大事だとお考えなんですね。

 もちろんです。というのも、私でさえ今でも現場で「こうしたらもっと良いのでは?」という発見や気付きがあるんですよ。だから、親方をゴールにするのではなく、その先に自分なりの電気工事の道をつくっていってほしいですね。

タージン その意見には私も非常に共感します。落語の世界でも、いろんな師匠が同じ演目を演じられてきました。けれど、どれひとつとして同じものはなく、もっと言えば、一人の師匠でも毎回新たな話法を生み出しています。そうやってコピーで満足せず、常により良いものを求める姿勢が、自分という個性をつくるんだと思うんですよ。

 おっしゃるとおりで、コピーでは成長は終わってしまいますからね。だから高みを目指して頑張りたい人と、ぜひ一緒に働きたいですね!

タージン 仕事に誠実で、肩を組んで成長を応援してくれる人が親方とは、若者にとってすごく良い環境だと思います。今後のご活躍を私も期待していますよ!

「仕事を楽しむ」とは‥

仕事も休みの日も全力であることです。やることをしっかりとやる。それが楽しみにつながりますよ。

(橘良裕)